弁理士会による特許出願復興支援制度

日本弁理士会は、被災地の復興を支援するために特許出願復興支援制度を設けています。この復興支援制度は、特許申請を費用面からサポートする制度であり、対象者は指定被災地に住所等を有する個人、中小企業者等です。先日紹介した特許庁による震災復興支援早期審査制度とは異なり、対象者には大企業は含まれず、個人、中小企業者を保護する制度です。

対象となる発明は、何らかの形で被災地の復興に貢献する可能性がある出願前の発明です。したがって、被災により指定被災地から転居された個人等も対象者に含まれますが、将来的に被災地において発明を実施する予定が必要になります。

制度の利用を申請するためには、日本弁理士会が指定する機関から推薦又は紹介を受ける必要があります。申請書を提出して書類審査を受けることにより援助が決定されます。申請書には発明の内容を具体的に添付書類を用いるなどして記載する必要がありますので、特許出願を代理する弁理士が既に決まっている場合には申請書の作成に協力を求めたほうがよいと思います。平成24年11月末現在では、申請30件に対して援助が決定されたのは半分の15件であるとのことです。

申請の期限は、平成29年3月31日までですが募集が途中で打ち切られる可能性があるようです。特許申請のみならず、実用新案登録出願、意匠登録出願の復興支援も行っておりますが、商標登録出願は対象から外れています。
「震災復興支援」(弁理士会)

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特許申請の震災復興支援早期審査

東日本大震災により被災された企業等の復興を支援するために、特許庁では特許申請の震災復興支援早期審査を実施しています。
平成23年8月1日から開始され平成24年7月31日までの予定でしたが、延長され継続されています。
「震災復興支援早期審査・早期審理を継続します」(特許庁)

震災復興支援早期審査の対象となるのは、出願人の全部又は一部が、災害救助法の適用される地域(特定被災地域)に住所等を有する者であって、地震に起因した被害を受けた者による特許出願、または、出願人が法人であり、この法人の特定被災地域にある事業所、工場、事務所、店舗、研究所等が地震に起因した被害を受けた場合であって、当該事業所等の事業としてなされた発明又は実施される発明についての特許出願です。
東京都は23区等も大量の帰宅困難者が発生したために災害救助法が適用されましたが、上記の特定被災地域からは除かれます。
通常の特許申請の実体審査では審査請求をしてから最初の審査の結果がわかるまでに2年近くかかりますが、早期審査により2ヶ月弱程度で審査結果が出ることになり、特許要件を満たす場合には特許権を早く取得することが可能になります。なお、特許申請の審査待ち期間、早期審査の審査待ち期間については、「特許出願・特許申請の流れ」で、もう少し詳しく説明しています。

ただし、早期審査制度は、中小企業、個人の特許申請であれば被災されていない場合であっても利用することができます。震災復興支援関連出願であるという条件で早期審査を申請したからといって、中小企業、個人が出願人であるという条件で申請した場合と比べて、審査が早まるということではないようです。
中小企業、個人で被災された場合には、震災復興支援早期審査はあまり有効ではないようにも思えます。

震災復興支援早期審査制度を利用するメリットがあるのは、例えば、被災された大企業の特許出願人や、大企業の研究所が被害を受けて、被害を受けた研究所の所員が研究の末、発明を完成した場合の大企業の特許出願人などになるのでしょうか。これらの大企業の特許出願人の場合には、通常よりも緩和された条件で早期審査が認められることになります。

平成24年9月10日までに申請された特許出願の震災復興支援早期審査の件数は120件程度ということで今後も申請件数が激増するようなことはないように思えますので、震災復興支援関連出願の場合には通常の早期審査よりも審査を早めてスーパー早期審査の申請を認めるようにしても審査に過度の負担がかかるようなことにはならないのではないかと思います。
そうすれば、震災復興支援早期審査制度は、中小企業、個人で被災された出願人にとっても、復興のために特許権を有効活用することができる、もう少し利用価値が上がる制度になるのではないでしょうか。

被災され印鑑をなくし、例えば住所変更届などの特許庁への提出書類に新しい印鑑で押印する必要がある場合(もし識別ラベルがあれば押印の代用が可能です。)には、印鑑変更届もいっしょに提出することを忘れないようにしたほうがよいと思います。商標登録出願の例ですが、早期審査を申請したにもかかわらず、印鑑の問題で審査が遅れてしまったという例が特許庁の広報誌「とっきょ」に載っていました。

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震災による特許申請などに関する手続期間の延長措置について

特許庁は、東日本大震災による大きな被害により、特許申請などに関する手続を定められた期間内に行うことができなかった方々を救済するために、手続期間を延長する措置を継続しています。
この手続期間の延長措置は、特別措置法第3条第4項に基づくもので、来年の3月31日までを限度としています。

震災により特に被害が大きいことが明らかである指定地域に住所,営業所などがある方々や、実際に大きな被害を受けられた方々(指定地域以外の場合には各市町村が発行するり災証明書又はその写しの添付が申出には必要となります。)であって、震災が発生してから手続期間が満了してしまうにもかかわらず、特許庁への手続を行えなかった方々が延長措置を受けられる対象となります。

手続を行う前に上申書を提出して申出を行う必要がありますが、
特別措置法第3条第4項に基づく政令に掲げられた手続である、例えば、出願審査の請求,国内優先権の主張,拒絶査定不服審判の請求などは「特別措置法による措置」の対象となるのに対して、
指定期間に行う手続である、例えば、特許申請の願書に添付した明細書,特許請求の範囲等の補正や意見書の提出などは「運用による措置」の対象となり、
手続の種類によって上申書の作成方法が異なることに注意する必要がありそうです。
なお、パリ条約による優先権主張の手続は延長措置の対象にはなりません。

手続期間の延長が認められた場合には、例えば、拒絶理由通知に対する応答手続であれば、新たに拒絶理由通知が発送され、新たに定められた60日間の指定期間内に応答手続を行うことが可能となります。

詳しくは、「東日本大震災により影響を受けた手続期間の延長について(第4報)」(特許庁)をご参照ください。

延長措置は平成24年3月31日で終了しました。「東日本大震災により影響を受けた手続期間延長措置の終了について」(特許庁)

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特許出願の出願番号と出願件数の関係

特許出願の出願番号って、基本的にはその年ごとに出願した順番に1から与えられていくものです。

そうだとすると、例えば2010年12月31日の時点で、通常の特許出願手続をして付与された出願番号が2010-300000を超えていない場合には、2010年度の日本での特許出願件数って30万件を切ってしまうことになるんでしょうか?

この質問は、特許事務所や企業の知的財産部などできちんと実務経験を積んでいる弁理士であれば、誰でも答えられるほど基本的な質問です。
万が一、弁理士として質問されてわからなかったとしても少し調べれば簡単に判明することです。

にもかかわらず、ネットではこの質問に関連した誤情報が散見されます。

通常の出願番号の付与のされ方とは別に、PCT出願をして日本への国内段階移行手続をした出願には、50万〜60万番台の出願番号が付与されます。
これらの50万番台の出願番号が付与された特許出願件数などを合わせると、例えば2010年の特許出願件数は30万件を超える(344,598件)ことになります。
もちろん、特許庁で発表される各年ごとの日本における特許出願件数は日本へ国内段階移行手続をした出願を含めた件数です。

また、ここでいっている「通常の特許出願」には外国人からのPCT出願によらない特許出願が含まれることや、日本に国内段階移行手続をした出願には日本人による出願が含まれることは明らかです。
ですから、通常の出願番号の付与のされ方による特許出願の件数が、日本人による特許出願の件数をあらわしているというわけでもありません。

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外国特許出願費用助成事業の申請には特許事務所の弁理士の協力が必要

先日、紹介した東京都知的財産総合センターによる平成23年第2回目の外国特許出願費用助成事業の申請について、外国出願の基礎となる日本での特許申請を特許事務所の弁理士に依頼した場合には、その弁理士などの十分な協力を得る必要があると思います。このような場合には、弊所でも協力させていただきます
外国特許出願費用助成金交付申請書を作成するためには、専門的な知識も必要となりますし、正確で十分な記載をしないと審査で不利になってしまう可能性があります。

この助成対象となる経費は、外国出願手数料、弁理士費用(国内及び現地代理人の費用)、翻訳料、先行技術調査費用、国際調査手数料、通信費などであって、平成23年4月1日から平成25年11月30日までに契約等をして、かつ支出した経費ということです。
外国への直接出願手続やPCT出願の各指定国への国内段階への移行手続も平成23年4月1日から平成25年11月30日までに行われる必要があります。
例えば、翻訳の契約が平成23年4月1日より前に行われた場合には、翻訳原稿を得た時期や翻訳料の支払時期が4月1日以降であっても、その翻訳料は助成の対象にはならないそうです。

なお、この前紹介した明日行われる予定の秋葉原での助成金説明会及びセミナーは満員で締め切られたとのことです。

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外国特許申請費用の一部を助成

日本国内だけで特許権を取得できたとしても、特許権の効力を外国まで及ぼすことはできないので、外国でも特許発明を独占的に実施したい場合には希望する国ごとに特許権利化を図る必要があります。
特許事務所に依頼される場合で、国内だけではなく外国への特許申請も希望される場合には、例えば特許申請の手続の流れのページに記載されているように、特許事務所がどのような手段をとればよいかを判断します。
しかし、権利化を希望する国が多いと、外国特許申請の費用はかなり高額となってしまい、中小企業や個人事業者の特許出願人の場合には外国での権利化をあきらめざるを得ないという事態も生じかねません。

このような外国へ特許申請する際にかかる費用の一部について助成する事業を東京都知的財産総合センターでは行っています。東京都知的財産総合センターは、都内の中小企業の知的財産の保護、活用などを支援するために東京都が設立した機関です。
このセンターによる東京都内に住所または主たる事務所を持つ中小企業者等を対象とする外国特許出願費用助成事業は年2回、5月頃、9月頃を予定しているとのことですが、平成23年第2回目の助成事業への申請の受付が平成23年9月26日(月)から始まるそうです。
外国特許出願費用助成事業 : 助成事業-東京都知的財産総合センター
また、外国特許出願費用助成事業を含んだ助成金の説明会・質疑応答や外国出願戦略セミナーが平成23年9月2日(金)に秋葉原で、平成23年9月6日(火)に昭島市で行われるとのことです。
助成金説明会及びセミナー

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